第二次北海道紀行 完結編

17 2月
さて、鼻の下の長いオヤジの話はさておいて・・・・。

氷点下の帯広の街へと足を運び、北海道の中でも1番人気が高いと有名な「北の屋台」という屋台村に向かいました。

そこは知らなければ通り過ぎてしまうほど、華やかさもなく目立たない場所でした・・・・・。

まるで Cafe Sofa がある路地裏のあの通りを思い出すほどの質素で目立たない場所・・・・・。

でも、何か暖かいオーラが屋台村全体から出てきているような感じを受けました・・・・。

扉を開けたくなるような感覚・・・・・。

屋台の中から聞こえてくる声から感じるお客さん全員が楽しそうな雰囲気・・・・・・。

氷点下の帯広の街にひっそりとある屋台の一つ一つが、何かのオーラに包まれているような・・・

いや、放っているような雰囲気・・・・・。

きっと中に入ればその感覚通りの事を体験できると思えるようなオーラ・・・・・。

素敵な感覚でした・・・・・。

さっきまで抱いていたオヤジへの怒りなどすっかり忘れてしまいそうな何かがそこにはあるような気がしました・・・。

そしてその扉を開けて中に入ると、屋台だというのに外気からは想像も出来ないほど暖かい空間・・・・・

そこで過ごした短いわずかな時間の中で感じた人と人とのコミュニケーションの暖かさ・・・・・。

特別に料理が美味しいとかじゃなく、空間が美味しいと思えるような感覚・・・・・。

外が氷点下なんて事も、屋台の作りも決して良い状態ではない事も全てを忘れてしまうよな空間が存在する事・・・・。

衝撃的な刺激を受けました。

コミュニケーションの持つ大切さ、屋台ならではの楽しみ方、そして店主の人柄・・・・。

帯広という大きな街の中にひっそりと存在している北の屋台の一つ一つの扉の中に見える小さな店の灯りに、

すばらしい感動を覚えました・・・・・。

上手く伝えられませんが、屋台というお店の作りや接客のやり方や雰囲気が{いいかげん}ではなく

{良い加減}という表現がはまる感じです。

ほどよく肩の力を抜きながら、リラックスしたような感覚で{適当}ではなく{適度}な状況・・・・・。

日本人が利便性を求め続けた結果に忘れてしまった、コミュニケーションが持つぬくもりがそこには確かにありました・・・。

心を込め、何よりも自分も楽しんでいる事で伝わっている想いがあると感じた事・・・・。

奇跡的な運命の巡り合わせの中で、帰りの飛行機まで一緒になってしまい、窓側の席になって「雲だァ!!雪だぁ!」

「富士山見えないかなぁ?」などと騒ぎながら、執拗にキャビンアテンダントの女性を呼ぶオヤジを見つけても、

今度は昨日までの怒りを覚えることがない、また一つ大人になった自分に気付かされ、帯広での旅の中で

得た物の大きさを測る事ができ、禿げ上がりそうなオヤジの頭に、ニヤリと笑顔をこぼしつつ、

この運命の巡り合わせも悪いものではなかったのかと少し思い直しながら、

高度一万メートルの白い勇者に運ばれ、短い北海道紀行も無事に終わりを告げました・・・。

うるさいオヤジに怒りを覚えながらも、遠く氷点下の土地に足を運んで得た北の大地のおみやげは、

近代的な四角い大きな箱が持つ機械的な暖かさの中では決して気付けなかった、小さな屋台の扉の向こうにそっと灯っていた

本当は誰もが知っているはずの、人と人とのふれ合いの中からしか生まれることのない、

ぬくもりという心の灯火だったのかもしれないな・・・・。

そして物があふれ、コミュニケーションの手段や内容が大きく変わってきたこの時代の中でも、

気付かないだけで、ぬくもりという灯りをいつも自分の中に灯してくれている誰かがいるという事を

忘れずに日々を過ごしていけるといいですね。

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